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2015年11月18日 (水)

クレームへの対応-総集編(2)

   クレームの聞き取り調査は新会社として独立してから5年後の合併前後に起きた一連の問題に移った・・・。

  グローバル化の追い風もあって事業は順調に発展し規模が3倍になった。時代がハードからソフトへ情報化に変革することを予見して元社長は情報機器とネットワークの草分け的企業の買収を決断した。買収条件の折り合いがつかず、株主の反対もあって難航したが6か月の交渉の末、対等合併で合意した。ほぼ同じくらいの事業規模だったため単純に計算すると2倍、創業時の6倍になるはずだったが、実際は業績が悪化して負債を抱えていたため合併時にはほぼ半分であった。事業を支えていた中堅エンジニアは合併直前に希望退職で会社を去り、残ったのは再就職が難しい管理職中心の50代後半と業務経験が浅い20代前半の社員ばかりであった。

  合併後業務の引き継ぎや新しい体制作りのためプロジェクトチームが結成され、双方から各部門の代表が集まり、3か月後の新体制発足までのロードマップ-120日計画が策定された。後にさまざまなプロジェクト管理に応用されることになる「10ステップロードマップ」とよばれる基本計画で次のような内容にまとめられる。


   Step 1: 統合の目的・目標・統合の進捗度の評価尺度と
             全体計画を立てる。
   Step 2: 人材・設備・資金・情報・顧客・市場など経営資源を
             調査してまとめる。
   Step 3:: 営業・企画・設計・製造・販売・保守のプロセスと
              付加価値・利益構造を比較、差異を分析してまとめる。
   Step 4: 人事制度や育成・管理、職場環境、福利厚生、文化など
              人的資源の管理方法を比較、差異を分析してまとめる。
   Step 5: 分析結果に基づいて顧客とその市場の要求達成を
             目的とする体制・組織・プロセスなどあるべき企業形態を
              明確にし、経営資源の統合戦略をまとめる。
  Step 6: 統合戦略を統合計画のスケジュールに沿って具体的な
              実施内容と個別目標、責任者を決め、資源を配分する。
   Step 7: 個別の具体的な計画に沿って整理統合を進める。
   Step 8: 統合によって生じた余剰人員の処遇、設備の処分などを
               決め、問題が起きないように調整しながら実行する。          
   Step 9: 統合計画の進捗を評価しながら目標・目的を達成したか
              判断し、新体制をスタート、顧客や社員、株主など
              ステークホルダーに説明、合意・承認を得る。
  Step10: 統合計画から引き継いだ事業継続計画へ移行する。

  (現)営業課長が技術部員として入社した直後に合併があり、社内は騒然としていた。配属が決まっていなかったこともあり、合併の混乱が遠因となったクレームやリコールの対応で2週間の新入社員研修が終わると顧客対応のため全国を飛び回った。同期入社の(現)企画課長は学生時代体育会系の部長という経験を買われて統合プロジェクトの分科会のファシリテーションをよく任されたという。最初は要領がわからず声の大きさだけで会議を仕切っていたが回を重ねるごとに櫛の歯を引くようにメンバーが出席しなくなり、代理で出席していた同期の(現)品質保証課長だけとなることがあった。同じ統合プロジェクト会議でも予算配分や組織統合、人事制度など利害のある経理・人事関連の会議は常に盛況であった。

  企画課長が進捗会議でプロジェクトリーダーに遅々として進まない状況を報告したところ、ファシリテーションに有効な手法として6色ハット発想法を勧められ米国本社で定期的に開催されるトレーナー研修に参加することになった。それまでもさまざまな研修を受けたがどれも会議の準備や発言の方法や議事録のまとめ方といった手法だったり、会議を盛り上げるためのヒントだとか形式的か会議の目的である合意形成にはあまり有効でない内容だった。このことを知ったのは6色ハット発想法が対立を解消し、同時に発想を変えるという考え方を根本から変える手法であることを体得してからだ。

  6色ハット発想法の研修から戻るとすぐに、企画課長は社内トレーニングを開始し、ファシリテータを育成する傍ら、自らも合併で発生し始めた問題の対策会議に出席してファシリテータを買って出て腕を磨いた。丸1日かけても結論が出なかった会議が20分で解決するケースが増えてくるようになり、統合プロジェクトチームでは標準的なファシリテーションツールとなった。しかしそれも統合が完了するとあまり使われなくなり、所属していた企画部内だけで細々と続けられた。というのも本来はハットを意識するだけでよいのだが、発想を切り替えやすくするためにボール紙で6色ハットを作り、ファシリテータの指示に従ってハットを着脱することが抵抗があったようだ。また、利害が対立したり、無関心なメンバーがいると6色ハットの仕組みが無意味になってしまうこともあった。

  会議に遅れることや時間通りに会議が終わらないことは日常茶飯事、会議室の予約が優先権を持つプロジェクトに占有されたり、予約はとっても実際に会議が行われなかったり、いくつもの会議の掛け持ちで出席に無理があったり、会議以前のモラルに問題があった。また、会議が行われたとしても重要案件は会議の最後のほうで話されるため時間切れで決まらなかったり、決まった事案も守られなかったり、最初からできない問題や議論しても結論が出ない問題、理想論ばかりで具体策が出ない、責任転嫁や回避が横行して会議の体をなしていなかった。

  最初の合併当時はそのような状況であったから現在では数時間で解決する問題が十分な対策会議ができないまま無為に
時間ばかりが経ってクレームへと発展していった。営業課長は日記のようにつけていた議事録を眺めながら当時を思い出し、聞き取りする人とのアポイントを取っていた。

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