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2013年5月11日 (土)

製造部クレーム対応-対策立案・実施

   連休は営業課長を中心とした対策のまとめチームと、技術部を中心とした製品Zの置き換えによる本稼働への試験チーム、品質保証部を中心としたデータ解析チームに分かれて朝7時から夜10時頃までほとんど休みを取らずに没頭した。営業課長は系統図で先方の購買部長の期待がある項目についてRight-Hand Columnで対策を展開した。<図表はクリックで拡大>Righthand_2
  これまでは障害に対してはどのような内容でも年数が経っていても100%補Warranty_2償してきた。製品は高くても売れ、信頼性も高く保守サービス費用を含めた価格が設定できたので問題にはならなかった。低価格化が進みコストが安い海外の品質のばらつきが大きい部品を使い、海外で生産せざるを得なくなったため障害が増え、修理コストが利益を圧迫するようになった。初期不良はそうした製品の品質低下が原因なので100%補償しなければならないが、急速に技術が進歩し、使い方も過酷になっている現状では設計当時では考えられない偶発故障が発生する。

  補償支払金額は毎年、保守サービス部門でかかった費用を合計していわゆるどんぶり勘定で一律製品価格に上乗せして価格設定してきた。また、保守サービス費はパッケージ化され簡単な修理でも高額な請求をされることがあり、顧客から不満を訴えられ、不払いでもめることもあった。さらに、保守費用が合計でしかとらえられないため製品ごとの問題が把握されず、改善が進まなかった。

  営業課長はこうした状況を考慮して偶発故障域に入る2年目は50%、3年目は25%に補償額を減額し、減額分を予防保全費用にあてる補償モデルを技術部・品質保証部・業務部・財務部・法務部と検討していた。2年目以降は損失を顧客と折半するような形になるので購買部長の理解を得るのは難しいかも知れないが「話せば分かる」ことを信じて、連休明けの会議に臨んだ。

  本稼働に向けた対策を第1に考えていることが好感を持たれ会議の滑り出しは順調だった。会議では重要度の高い(相手の関心の高い)議題から話すのが鉄則だが、これまではそうした議題は追及されるので後回しにして会議終了間際に話され、いつも結論が出ずうやむやになっていた。2時間の会議では議題は4-5項目程度に絞って、最後の議題は見送られてもかまわない。

  営業課長は会議全体をそのように組み立て、本日の最重要議題「規定外の補償」をもっとも議論が活発になる3番目に持ってきて説明を始めた。

   <文字の色はハットの色>


  購買部長:「製品が原因の障害だから何年経っても補償するのは当然だろう。」
  営業課長:「確かに初期不良はその通りですが、偶発的な障害はそうともいえません。」
  購買部長:「使い方に問題があるとでもいうのかね。」
  営業部長:「その原因もありますが、設計上の限界や耐久性の原因になります。」
  購買部長:「ならば、設計を変えて信頼性を上げればいいじゃないか。」
  営業課長:「納入価格と保守料金を数倍に値上げさせていただければ可能です。」
  購買部長:「コストを上げないで出来る方法があるだろう。」
  営業課長:「設計で信頼性は決まりますので予防保全でコストをおさえられます。」
  購買部長:「それが50%、25%の意味なのか」
  営業課長:「はい。これまでの御社納入分の障害データから算定しました。」
 
購買部長:「わかった。とりあえずそれで行ってみよう。」
  営業課長:
「ありがとうございます。お怒りになるかと覚悟しておりました。」
  購買部長:
「前回は根拠のない説明ばかりで納得できなかっただけだ。」
  営業課長:
「エンジニアの説明が不十分で真意が伝わらず、申し訳ありませんでした。」
  購買部長:
「以前の人たちも説明は下手だったが、親身になって対応してくれた。」
  営業課長:
「そう仰っていただくと嬉しいですがみな早期退職いたしました。」
  購買部長:
「まぁ、我が社も合併で同じ状況だから、出来ることは助け合おう。」
  営業課長:
「ありがとうございます。ご信頼を取り戻すように努力いたします。」
  購買部長:
「理解はしたが納得していないので都度報告して欲しい。」
  営業課長:
「承知いたしました。」

  補償ルールを明確に説明したため、その後に説明した対策は大きな問題は無く受理された。
 
  営業課長は顧客のように話し相手や会議のメンバーに6色ハット発想法を知らない人たちがいるときの使い方-日常ではこのケースがほとんど-についてあらかじめ確認しておいた。その基本はOODAループを回して相手の話に寄り添うように反応して行く。すなわち、

  Observe    :相手がどのハットの色の発想をしているか観察する
  Orient       :話の内容や意味から話の流れの方向を読み取る
  Decide      :方向が同じ色のハットで発想して返事の内容を決める
  Act           :決めた内容を話して相手の反応を見る-Observeに戻る

を会議中や会話中に瞬時に行って話を進める。購買部長と営業課長は旧知の間柄で会話の流れはある程度予測がつくので発想がわかりやすく反応が容易であった。しかしながら、通常は分からない事が多いのでOpen-EndedとClose-Endedの質問を交えて流れをつくると良いと教えられた。

  Open-Ended:相手の発想のハットの色に沿って質問する。
                     【例】新しい事実は何ですか?(White Hat)
                            一言で言うとどうなりますか?(Blue Hat)
  Close-Ended:相手がどの色のハットかYesかNoで確定できるように質問する。
                     【例】ご不満を感じていらっしゃいますか?(Red Hat)
                            それは事実ですか?(White Hat)
                                     

営業課長が対策案が受理されたことを工場で待機しているスタッフやメンバーに伝えると、さっそく暫定措置としての製品Z交換による本稼働に向けたスケジュールが始まった。
Schedule

  営業課長は通常稼働テストの順調な立ち上がりを確認して技術部と品質保証部が進めている根本原因の追及と再現実験の進捗具合を確認するため工場に向かった。数日降り続いた雨も上がって晴れ間が見え始めた。

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